愚痴りついでにもうひとつ
メロン騒動でなんだかすっきりしない帰宅をした22日の晩のこと
今度は市川にいる妹から実家の母の件で電話があった
92歳と85歳の年寄り2人暮らしの実家だから、電話が鳴ると何かあったかとドキリとする
長女の私が早くに家を出てしまったせいで、妹に跡取りの重責がたらいまわしになった
共稼ぎの妹は車で1時間半もかかる実家に休み度に通って、なにかと世話を焼いている
子どもが小さかったころは泊り込みで子守に来てもらうなど、世話にもなったようだが
年寄りになった今は、逆に世話することばかりが年々増える
実家周辺のもろもろの雑事を妹一人に押し付け、暢気な一人を満喫して申し訳ない気がするが、
遠い沖縄、たまの電話と、折々の美味しいものを送るくらいしか能がない
先日、母の90歳になる姉宅で、まだ60歳手前だった跡取り息子が亡くなった
気の優しい一人息子で50代半ばで結婚して、やれ安心と思ったのも束の間、
あっけなく癌にかかり、新婚4年めの妻と老齢の母を置いて旅立った。子どももいない
ショックで、最近とみに伯母の認知症が進んでいるらしい
母が、お返しの品の注文を頼まれて代行したら、別な人にも頼んでいてダブって届いたとか
お金に絡むことは引き受けないほうがよいと、妹が注意したら母がすねてしまったとか
老人世帯を狙ってくる押し売りの高級布団や家の修繕の誘いやらの多くて、
別居の妹の目の届かないところで、人の良い母はだまされていたりするらしい
妹が口うるさく注意するので、内緒にしてくれとおばあちゃんに緘口令を敷いていたようだ
92歳のおばあちゃんのほうが世間や人をよく見ているところがあって
なれなれしく上がりこんでくる訪問販売の健康食品販売業者なども、覚めた目で見ているようだ
寡婦歴40年のおばあちゃんと、まだ2年の母とでは人恋しさの克服度が違うのかも
先日、高級布団を押し売りした業者がまた来て、クリーニングが必要だといったそうだ
翌日に引き取りに来ると話しているのを、おばあちゃんが聞きつけた
また母がだまされると思ったおばあちゃんは、警察に電話をして助けを求めたそうだ
業者が予定より早くに来たので、警官が来たときにはクリーニング8000円で契約が済んで帰った後だった
だましたというほど高額でもなく、すでに契約成立という状況のため警官はそのまま帰ったとか
納まらないのは、勝手に警官を呼ばれた母で、おばあちゃんと一触即発の状況になったらしい
たまりかねたおばあちゃんからの電話で、事の次第を知った妹が母に電話して、心配してやったことで悪意ではないととりなした
それがまた母の癇に障って、悔し泣きした母は無言で電話を切ってしまい取り付く島がない
このままでは母も眠れないだろうから、孫の話でもして機嫌をとってくれないかというのが妹の電話の趣旨だった
あこぎな商売をする人のせいで、たった二人の身内が険悪になるとは、なんとまあせつないこと
しばらくして電話をしてみたが呼び出し音が鳴るばかりで留守電にも代わらなかった
夜、そろそろ眠る頃と思って再度電話をしたが、やはり出ない
妹からだと思って知らん振りしているのだろう
翌日夕方、もう1度電話してみたら、「はい」と不機嫌そうな力ない声が返ってきた
どうしたの?声に元気がないね~と言うと母は何か言いたそうで言えずに言葉を選んでいる様子
暑いようだからね、夏風邪でも引いたの? と、畳み掛けると、
そうなんだよ少し微熱があってさ…と 話は最近の体調不良のほうへ流れていった
だんだん声の調子が明るくなってくるのがわかる
私も昨日聞いたことには触れずに、孫のことや家の設計が上がってきた話やらして、
来年は新築の家に招待するからね、おばあちゃんにもよろしく伝えてと明るく電話を切った
知らない振りして逃げ場を作ってやるのが当面の私の役目だろう
妹が定年になるまでの数年を、誰かがそばにいて補助をした方がよいと思うのだが
そして、それが出来そうなのは私しかないだろうと思うのだが…今はそうもいかない
足腰も気力も弱ってきた婆二人のくらし、慣れ親しんだ土地での普段の付き合いで気力を保っている
私は先の楽しみを少しずつ小出しにして希望をつなぐしかないのだろうね
今年のお盆も顔を見に行くことに決めて飛行機の予約を入れた
母と私は25歳違いだから、今の母と私の関係は25年後の私と子供達の関係の投影だ
今が青春だとばかりに元気に飛び跳ねて、やりたいことをしている私も確実に85になる
25年って、長いようで短い
いつの間にか定年になってしまったもの、25年くらいあっという間かもしれない
遠くない未来にやってくる自分の老後というものに、初めて憂鬱な思いを感じてしまった
人生60年などといって末っ子が成人する頃には世間と別れた昔のほうが
あるいは幸せだったのかもしれない~などと、ふと思ったりした